意外に多い「虐待するかもしれない」という悩み
ここ近年、児童虐待として報告される事例が急増してきています。
しかしこれは決して昔に比べて子供に暴力をする親が増えたという単純な問題ではありません。
過去にはしつけの範囲として見逃されてきた暴力行為が、ようやく児童虐待として認知されるようになり、家族以外の人間が介入できるようになってきたことが原因です。
逆にいうとかつては「親なんだからこのくらいしても平気」とされてきた範囲が数十年前と比較してぐっと狭くなり、子育てについて周囲からのダメ出しが大きくなったということも示しています。
といっても悪いことをした子供を叱ることまでもが虐待に含まれるわけではありませんから親が過剰に萎縮する必要はないのですが、実際に小さな子供を持つ親の多く(特に母親)が自分の子育てに対して強い不安を感じやすくなっています。
妊娠中に産婦人科や児童相談施設に寄せられる相談には「将来自分は子供を虐待する親になるかもしれない」という不安を口にするものが多くなっており、どこまで子供に対して感情をおさえることができるかわからないという人が増えてきていることが伺えます。
しかし誤解を恐れずに言えば、しっかり子供と関わりを持って育てている親の中で子供に対してついカッとしてしまい手を上げてしまったという経験が全くないという人はほとんどいません。
親も人間ですし、20年以上にもなる子育て経験の中ではつい感情を乱してしまう場合ももちろんあります。
問題はそうした暴力行為が継続的に、かつ子供の心身に悪影響を与える形で行われてしまうということです。
まずは「絶対にやってはいけない」という強迫観念を捨て、自分の気持をしっかり見つめ直してみましょう。
「しつけ」と「虐待」の区別をしっかり理解しておく
とはいえ親が子供と関係ないところで感じたイライラを子供にぶつけるようなことは出来る限りあってはならないことです。
なんとなくイライラしているな、気分が優れないなと思ったときには特に注意をし、子供が何かしたときにすぐカッとしないよう心の準備をしておきましょう。
手を上げそうになったらまず冷静に深呼吸をし、イライラのもとになる行動をなぜ子供がしたか理由を聞くようにしてください。
イライラが募るのは、自分と子供だけが狭い部屋に閉じ込められており、社会から隔絶されているような疎外感がある場合です。
狭い空間では自分もそうですが子供もまた他に逃げ場所がありません。
逃げ場所のないところで一方的に価値観を押し付けることは、仮に実際の暴力行為がなくても虐待にあたります。
手をあげそうになったときにはその行為が「しつけ」か「虐待」か、自分の心に問うようにしてみたらよいのではないかと思います。